片目が飛び出ている子猫のレスキュー

久高 ダンテ 2025年8月8日

生まれてまだ数ヶ月しか
経っていないのに
殆どの人が一生経験しない
想像をも絶するほどの痛みに
小さな体で耐えている。

名護市の駐車場に
目が病気の子猫がいると
通報のメールで写真を頂いた時は
目があるはずのところに
黒い空洞しか見えず
思わず息を呑んだ。

まさか目が破裂している？

助けに現場に行って
その駐車場に近づくと
小さな子猫が
車の下に入り込むところを
見つけた。

よかった！
まだ生きている！

助けが必要なのは
その一匹だけだと思っていたが
車の下を覗くと
なんと10匹ぐらいの
猫の大家族が横たわっていた。

なんてこと・・

他に目が感染症を起こしていて
そのままで視力を失いそうな
兄弟が2匹もいた。

そしてお父さん猫だと思われる
茶虎の子は、背中にひどい傷を
背負っていて、
傷口が膿んでいつか敗血症で
亡くなる恐れがあル。

いったい何があって
ここまでひどい傷を負った？

猫同士の喧嘩か事故で
傷付いて、
自分で舐め崩して
少しずつ傷口が
広がってしまったのだろう。

１匹だけの救出だと予想していた。
まさか状態が悪くて
救出が必要な子が
こんなに多いと思わなかった。

助けを求めているように
目が飛び出ている茶白の子猫は
すぐ車の下から出てきて
一直線に足首にすりすりしに
走ってきた。

病気で目の膜が溶けてしまって
だんだん目が膨らみ続けて
やがて顔から飛び出てしまったようだ。

ハエが腐った目に
群がっている光景を見ると
涙を流さずにはいられなかった。

こんな小さな体で
よく激痛に耐えながら
生きてきた。

スコールが多い沖縄の夏。
子猫たちを拾い上げて
保護している最中
急に大雨が降り出した。
猫たちは慌てて
倉庫の下に潜り込んだ。

怪我しているお父さん猫は
保護することができなかったが
諦めず挑戦し続ける。

目が病気の兄弟は
3匹もレスキューすることができ、
2匹の成猫も避妊去勢するための
捕獲した。

子猫たちはすぐ医療にかけたが
悲しいことに目の膜の細胞は
再生ができないから
一度溶けてしまったら
良くなるのがかなり厳しい。

他の目は薬で
良くなる希望がまだあり
せめて盲目にならないよう
片目だけでも視力を
守るよう必死に治療をしている。

沖縄の北部は、
大きな保護団体や施設がなく
動物愛護も浸透していないため
病気の猫や怪我をしている猫がいても
保護したり、通報したりする人が少なく
大体自然に任せられて
そのまま亡くなるのが辛い現状。

この子たちが氷山の一角で
その百倍もの子猫が
知らないところで苦しみながら
命を落としていると思うと
本当に心を痛める。

工事中の北部の施設が完成したら
もっと動物愛護が浸透して
一歩ずつ猫たちの命が
守られる社会に近づくと
信じている。

まずは目の前の命を
幸せにするために
頑張るしかない。

虫と汚れまみれの体は
お風呂でピカピカになって
気持ちよさそう！

この3匹の兄弟の
見えない目が視力を取り戻して
小さな瞳に美しい世界が
再び映るよう
毎日の治療を頑張る。