ゴミの山に生き埋めにされた猫の救出
ゴミの山に生き埋めにされた猫の救出
久高 ダンテ 2026年9月28日
ごみ屋敷の中に
4匹の猫が置き去りにされていると
那覇市のアパートの管理会社から
緊急通報が来て、写真を見た時は
自分の目を疑った。
今まで多くの多頭飼育崩壊の
レスキューを実行してきて
地獄みたいな現場を沢山経験してきたが
ここまで酷いのは初めて。

急いで防護服や網を車に乗せて
他のスタッフと一緒に
現場に駆け出した。
一度写真で見て心の準備をしたはずなのに
ドアを開けると、想像をも絶する
生き地獄が目の前に広がった。
マスクを二重にしてつけているのに
何年分ものゴミと糞の臭いが
あまりにも強烈すぎて
玄関に立ち入っただけで
咽せて吐き始めた。

今まで経験してきたごみ屋敷は、
少なくとも足の踏み場があったが
ここはゴミの山がもう胸まで
届くほどの高さになっていて
ゴミの上を登るしかない。
その中を、何万匹ものゴキブリが
大発生していて、猫のご飯のお皿は
ゴキブリに溢れている。
一緒に来た女子スタッフは、
ゴキブリが大苦手だが、
悲鳴を上げず、
早く猫を救いたい一心で
ゴミの中を捜索し始めた。

管理会社の話では、
猫たちが置かれている状況は
那覇市の行政に連絡済みだが、
行政は現場に様子を見にも来てくれず
相変わらず猫たちを見捨てている様子。
2年前に沖縄は多頭飼育崩壊防止の
対策だと言って、多頭飼育をしている方が
県に届け出を出さないといかない条例を作った。
当時の説明会では、多頭飼育の場所を
把握するのはいいことだが、
結局行政はいつも崩壊があっても
現場に様子を見に行くのに何週間もかかるし、
行きもしないで、スルーすることも多いし、
大体一匹も助けずに、全てを民間の団体と
ボランティアさんに丸投げするのが現実。
その対応が変わらない限り
条例は何も意味がないと
はっきり説明会で何度も意見交換をした。

そして、予想通り、
数年後はまだ行政の対応が
何も変わっていない。
政治家は、選挙の時に
「動物愛護のために頑張っている!」と
アピールができるように、
条例などを作ったりするが、
結局口先だけで、動物に予算と時間を
かけたくないのが悲しい本音。
だから、実際命を救うための活動は
ほぼ何もしてくれず、
今回も僕たちがこの猫たちを
どうにか救い出すしかない。

ごみ屋敷を2時間探しても
猫の姿が一度も見当たらず、
本当にこっちに猫がいるの?と
疑い始めたほど何も気配がない。
まさかゴミの中で死んでいる?と
心が絶望に蝕まれ始めた。
ゴミの山の表面は飲み物やご飯だらけで
その下にはテレビ、家具、正体不明な
金属など、大きいものも埋まっている。
どんなに探しても猫がどこにいるのか
全く検討がつかない・・
ゴミを片付けないと
到底見つからないが
あまりにも量が多くて、
このペースでは何日もかかる・・
そしてその間に猫が死ぬだろう。

管理会社は特殊清掃を頼んでみたが
現場に来た会社はどこも
「できない」との答えだったらしい。
清掃できる会社が見つかっても
見積もり、スケジュール合わせなどで
数週間もかかっちゃうので
結局、猫たちを見つけるために
僕たちがどうにかゴミを片付けないと。
沖縄はまだ真夏の猛暑の中で
カビで壁と天井が崩れている
重苦しい空気の中、
熱中症で倒れそうになりながら
何時間もずっとゴミを拾い続けた。
飼い主は、ゴミから避難するために
箪笥の上に布団を敷いているようで
その箪笥の中の隙間に猫が
もしかして埋まっていると思って
ベッドの周りを中心に
ゴミをかき分けることにした。


ゴミの中、猫の薬や療法食の袋も見つかって
すごく複雑な気持ちに襲われた。
何年も猫たちをこんな生き地獄に閉じ込めて
飼い方は最低な虐待だと思う。
しかし、飼い主は生活保護で
お金がないはずなのに
猫たちのために高い療法食を買っている・・
親戚も、友達も、誰もいなくて、
飼い主にとっては、この猫たちが
唯一の家族と愛情だったのだろう・・
クロゼットがあるのに、
ゴミの山に埋まって開けなくなったから
シャワーを浴びるのをやめて
お風呂場に洋服をかけている様子。
何万匹ものゴキブリと共生して、
夜中にゴキブリに体を上られながら
何年もこっちで生活していたわけ。

ホラー映画よりも恐ろしい現場で
重い精神病で苦しんでいる人しか
ここまで堕ちて住めないに違いない。
生き埋めにされている猫たちの
ことを考えると、正直飼い主に
地獄に堕ちろと思ったりするが
間違いなく、飼い主はもうすでに
長年、毎日地獄を生きてきたのだろう・・
ゴミの中、飼い主の多くの薬も
散らばっていて、飼い主が
急に猫を置き去りにしたのは
自分が入院して緊急手術を
受けることになったからだと聞いて
飼い主がとても哀れに思えた。
退院しても明らかに生活ができない状態で
今後はずっと精神病院に住む可能性もありそう・・
認知症や精神病との闘いの辛さは、
想像もできないが、その人も本当は
誰かが手を差し伸べて
どうにか救出してくれたらと思った。

精神病だからと言って
寂しいからと言って
猫をこんな環境で飼っていいはずがないし
元々8匹がいて、2匹が脱走して、
2匹がゴミの山で死んだと聞いたので
誰よりも猫たちが可哀想だが
飼い主も、自分が住んでいる環境が
可哀想だと認識できないほど
病んでいて犠牲者と言えるでしょう・・
とりあえず、もう時間がない。
早く猫たちを見つけて救出しないと。

布団の下のゴミをかき分けて、
人が箪笥の中に入れるほどの
小さな穴を作って、
最も体格が小さなスタッフが
その中に潜り込んだ。
そして、懐中電灯を照らすと
ゴミの中から、猫の目の反射が見えた!
やった!まだ生きている!
そのゴミをどかすと、
箪笥の中の小さな椅子の下に
猫が2匹埋まっているのを発見した。


少しずつゴミの中に潜り込んで
猫の体に網をかけて
一匹ずつゴミの中から引っ張り出した。
箪笥の一番奥に、3匹目が
隙間に隠れているのを見つけたが
手を伸ばすと、シャーと怒って
箪笥の中から飛び出して
ゴミの山を走り回り始めた。
キッチンまで追いかけると、
棚の上に避難されてしまったが
上からゆっくり網をかけると
無事に保護することができた!

しかし、最後の4匹目はどこ?
箪笥の中を隅々まで探しても
出てこない・・
「3匹しかいなかったかもしれません」
現場で立ち合いしていた
管理会社の担当者が玄関から声をかけてきた。
「飼い主は、最初は3匹だと言って、
その後に話が4匹に変わって、頭数が曖昧」
「ゴミの中に猫を一匹でも
残すわけにはいかないから、
頭数は正確に知らないと」と説明すると
管理会社が飼い主が
入院している病院に電話をかけてくれた。
そして数十分を待つと、
飼い主から返事が来た。
間違いなく4匹だって。


でも一体どこに?
もう一度ゴミの山に潜って
埋まっている家具の下を探し始めた。
そして寝室の隅にある机の下で
最後の一匹がゴミの中で
埋まっているのを見つけた。
しかし助けようと手を出すと
猫ちゃんが一直線に飛び出して
トイレの中まで逃れてしまった。
スタッフ3人で追いかけて
長く苦戦し続けると
最後の一匹の救出にいよいよ成功した!


猫は自分の体を舐めて
グルーミングをするから
ごみ屋敷にいる猫たちは
毛についているゴミを自分でとって
大体意外に綺麗な毛並みだが
強烈な臭いは毛に染み込んで
体は菌やノミだらけだから
4匹をお風呂に入れて綺麗にしなくちゃ。
何年もゴミの中で生き延びて
心のトラウマがかなり深くて
人間恐怖症のようだ。
手で触ろうとすると大暴れするし
人の気配を感じるとご飯も食べないから
パニックを起こさないように
先生に鎮静剤を打ってもらってから
お風呂に入れて体を綺麗に洗って
ノミダニ駆除をすることにした。


4匹の兄弟はとても心細くて
まだ大変怖がって一日中寄り添い合っている。
頭まで隠して、大きな茶色の塊に見えちゃうが
何年も生き地獄で生活をしてきたから
無理もないよね。

チュールをあげようとしても
舐めようとせず
パンチして逃げる一方で
この子たちが人に心を開くのに
かなり時間がかかりそうだが
4匹が辛かった分まで
幸せになれるまで
心のケアを頑張り続けて
絶対に諦めない。
